都市伝説の裏側ブログ

世に溢れる怪しい噂を色々な視点から考察します。

英国の命運を握る?「ロンドン塔のカラス」の話

英国国民から「女王」と呼ばれたカラスが行方不明に

イギリスのロンドン塔は1月14日、塔内で飼育しているカラス1羽が行方不明になり、死亡した可能性があると伝えた。

行方不明になったのは、2007年にやってきた「メリーナ」と名付けられた雌のワタリガラスで、イギリス国民から「女王」と呼ばれ親しまれてきたが、数週間もその姿が見えなくなっていたという。

イギリスには「ロンドン塔に6羽のカラスが揃っていないと国が滅びる」という言い伝えが存在し、現在ではメリーナを除く5羽の他、「万が一」に備えて2羽の計7羽のワタリガラスが飼育されている。

英国に不吉な予兆? 国の命運握るロンドン塔のカラス1羽が行方不明 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

ワタリガラスって、どんな鳥?

高い知能を持つ世界最大のカラス

ワタリガラス(Common raven)は、体長が60cmにもなる世界最大級のカラスの仲間で、ユーラシア大陸から北アメリカ大陸にかけて幅広く分布し、日本でも冬の渡り鳥として北海道で観察されている。食性は雑食だが、主に動物の死肉を好むなど、他の種類のカラスに較べてやや肉食傾向が強いとされる。

また、一般的に「カラスは賢い鳥」と認識されているが、ワタリガラスも決して例外ではない。スウェーデンのルンド大学の研究チームによれば、ヒトやチンパンジーなど一部の類人猿だけにしか出来ないとされていた「未来を見越した行動」が観察され、人間の4歳児程度の知能があると言われている。

ワタリガラス、4歳児相当の知能 将来見越して行動:朝日新聞デジタル

嫌われるどころか、神話の世界で大人気

真っ黒な羽に不気味な鳴き声、集団で死肉やごみを漁る姿から、一般的にカラス(Crow)に対して良いイメージを抱く人は少ないが、ワタリガラスは例外的に多くの神話や文学に於いて物語の重要な役割を担う存在として登場する。

例えば、北欧神話では主神オーディンへ様々な情報を伝える「フギン」と「ムニン」という1対のワタリガラスが登場するし、イギリスには「アーサー王は魔法によってワタリガラスに姿を変えられた」という伝承もある。

ロンドン塔でワタリガラスが飼育される様になった理由

カラス飼育の理由はロンドン大火と占い師の助言?

ロンドン塔でカラスが飼育される様になった経緯には、一説として1666年9月2日に発生した「ロンドン大火」の犠牲者の死肉を目当てに、大量のワタリガラスがロンドン塔に住み着き、時の国王であったチャールズ2世がカラスの駆除を考えた所、「ロンドン塔からカラスがいなくなると、塔が崩れて国が滅びる」と占い師から予言されたためといわれる。

そこで、チャールズ2世は駆除を諦め「塔にいるカラスの数が6羽よりも少なくならない様に飼育せよ」と勅令を出し、それ以来350年以上に渡って「Raven Master」と呼ばれる護衛兵によって守られてきた。

疫病に戦争…当時のイギリスでは社会不安が蔓延

現代の感覚からすると「『カラスがいなくなったら国が滅びる』なんて占いを真に受けるなんて」と思うだろうが、科学が発達していなかった当時は、政治に占いが関わる事は決して珍しくなかった。

加えて、当時のロンドンではペストが大流行し、ロンドン大火の前年である1665年だけでも約7万人の死者を出したといわれる(当時は当局に死亡届を提出する義務が無く、それぞれの教区で死因を決定する義務を負う「調査員」を任命していたが、教会の支援が必要な貧困層の人間が多く科学的な知識も乏しかった)。

加えて、1665年から1667年にかけて北米大陸の植民地利権をかけてオランダとの間で「第2次英蘭戦争」が起こっており、これらの要因が重なってイギリスは財政難に陥っていた。

この様に、チャールズ2世にとっては政治判断を間違えれば民衆の怒りを買いかねず、増えすぎたカラスがうるさくても占い師の助言を受け入れざるを得なかったといえる。

おわりに

上述した様に、現在のロンドン塔には7羽のカラスが飼育されている。加えて、カラスの飼育下での寿命は20年以上といわれており、ただちにイギリスが国家の存亡に係る事は無いと思われる。

しかしながら、イギリスの欧州連合(EU)の離脱(ブレグジット Brexit)や新型コロナウイルスの感染拡大、アメリカ大統領選挙、王室のスキャンダルなど、現在のイギリスの政治を取り巻く状況は非常に厳しいものがある。

英王室、イギリスの行く末を、果たしてロンドン塔のカラスたちは見通しているのだろうか?

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